2025年12月9日
【第1分科会】一人一人が主人公~人財部長と考える“人が集まる” 鈴生の魅力~
株式会社鈴生 鈴木貴博さん 松本剛史さん

株式会社鈴生は、静岡県で葉物野菜を中心に物流・植物工場等の多角化経営を展開する企業です。基調講演では、家族経営から数年で年商13億円の大企業に至るまでの道のり、そして今後の展望についてお聞きしました。
第一分科会では、そんな鈴生の成長を支えてきた「人財部長」こと松本さんをお迎えし、鈴生がここまで成長できた“秘密”に迫るべく、鈴木さんの歴史を掘り下げました。
「鈴生」はこうして生まれた
鈴木さんのご両親は、鈴木さんが幼い頃に脱サラして農業を始められました。鈴木さんはもともと商社への就職を夢見ていらっしゃいましたが、ご両親の農園が大手飲食店企業との契約を始めることをきっかけに農業に就くことを決意、山梨県での2年の研修を経て自家就農されました。
鈴木さんが就農して数年後、弟さん2人も自家就農されました。借地に苦労しながらも、地域の信頼を得ながら順調に作付面積を拡大していたものの、なかなか良い野菜ができずに経営不振となり、農業をやめようとまで考えていたこともあったそうです。そんな時、鈴木さんにある出会いが訪れます。
「ある方に『お前は野菜を作ろうと思っているだろう、野菜が自分で育つのを手助けするのがお前の役目だ』と言われたんです。それまで“高く売りたい“と自分の欲を野菜に押し付けた栽培をしてきたことに気づき、その言葉を畑に持ち帰り、野菜と話をしながら育てる手助けをしているうちに、自然と良い作物ができ始めました」この出会いが、鈴木さんの野菜づくり人生の大きな転機となりました。
また、ちょうどその頃、両親と一緒に経営していた鈴木農園では、独立したいという社員が現れます。鈴木さんは、その社員の農作物も一緒に販売できる会社を作りたいという思いから、「作物も人もたくさん実る会社にしたい」という願いを込めて、「株式会社鈴生」を設立しました。
まさかの危機!社員の大量退職
会社設立を経て、鈴生は更に順調に売り上げを伸ばします。トントン拍子に経営が伸びる中、ある時、社員が大量に退職してしまいます。
その頃は、鈴生はちょうど売上1億5000万円を超える頃。その先に行く勝負に出るには、自分が引っ張っていかなくては、どんどん売上を上げていくぞ、という鈴木さんの強すぎる思いに社員がついていけなったことが原因でした。鈴木さんはこの時、「人も野菜と同じ、育てる手助けではなく、私の欲が人財育成にも入っていたのだ」と気付いたそうです。
そんな時、出会ったのが現在「人財部長」を務める松本さんでした。農業外で出会ったお二人ですが、この出会いが鈴生の“人づくり”を大きく変えていくことになります。
人財部長、松本さんの参画
松本さんが鈴生に入社したのは2015年。松本さんはその頃、学校の教師をされていました。仕事がうまくいかず悩んでいた時、鈴木社長の一言が松本さんに刺さります。「うちも野菜作り大変だけど、いい野菜作るにはいい人間作んないといけないから」この言葉を聞いた時、松本さんは純粋に「この人と働きたい」と思ったそうです。鈴木社長のこの言葉は、先の失敗から得た信条でもありました。
松本さんは入社当時、「モスファームすずなり」で、最前線で野菜栽培から仕事を始めました。体力に自信があった松本さんでも、いざ農業をやるとなると、大変だと思うこともたくさんあったそうです。
その後、鈴生では「仮想自社農場制度」を導入(現在の鈴生では、子会社や支部として運営する形に成長)、社長が全体の経営に集中することができる環境を作るため、「人づくり」に対する信頼があった松本さんは人財人材部長を任されます。
鈴生を支える人財部長
「仮想自社農場制度」とは、鈴生が持つ圃場をグループ化し、リーダーに栽培計画・管理まで全てを任せる独自のシステムです。グループリーダーは月に一度の収支結果報告を行い、グループの給与も自身で決めるという、まさに「経営」を実践する仕組みです。鈴木社長は、社員が積極的に運営に参加し、よりやりがいを持って会社に定着してくれることを目指して、この制度を導入しました。
そんな制度のもと、現場の社員たちの人財育成を任されているのが松本さん。今でこそ社員からの信頼も厚い松本さんですが、はじめは反発も大きかったそうです。丁寧に社員からの声を聞き、会社とともに成長を促す、そんな仕事が実を結び、今では鈴生は「成長したい人」が集まる会社となっています。まさに、人は財産。鈴生で活躍する人、鈴生を飛び出して事業を起こす人、そんな輪が広がっている様子がお話から伝わりました。
最後に
質疑応答では、様々なご質問が寄せられ、一つ一つの質問に、丁寧にご回答いただきました。事業計画の重要性、家庭と仕事の両立、経営理念を社員と共有する大切さ、そして夢。
最後は熱気冷めやらぬ中、「茨城の3兄弟」こと、れんこん3兄弟の宮本さんにもご登壇頂き、会場全員でお互いにエールを送りあい、分科会を閉じました。短時間で業績を伸ばした鈴生の“秘密”全てに迫ることはできませんでしたが、鈴木社長の熱い経営者マインドをしっかりと胸に刻むことができました。

