2026年3月26日
高温対策の推進について
2023年以降、日本の夏の平均気温は2年続けて過去最高を記録し、さらに2025年にはその記録を塗り替えるなど、夏季における記録的な高温は、もはや一過性の異常気象ではなく、常態化しつつあります。こうした気候の変化は、農産物の生産現場においては、生育不良、品質低下(写真1)、果実の着色不良(写真2)や肥大不足、開花時期のズレ、病害虫の多発などを引き起こし、このまま対策を講じなければ、生産者の経営維持が困難となり、本県農業に極めて深刻な影響を及ぼすことが想定されます。

画像提供:農業総合センター専門技術指導員室

こうした高温環境が続く状況を踏まえ、将来に渡って本県農業を持続的に発展させていくため、県では、「高温耐性品種の導入」、「生産技術対策の強化」「多発する重要病害虫の総合防除」を進めています。
高温耐性品種の導入
生産現場では、高温環境下でも品質や収量への影響が出にくい高温耐性品種の導入を推進しています。例えば、水稲では高温の影響により玄米の内部が白く濁る白未熟粒が発生し、品質低下が問題となっています。そこで、白未熟粒の発生しにくい高温耐性品種「ふくまる」や「にじのきらめき」への導入を推進しています。県では、各産地で高温耐性品種の導入を推進するための実証ほを設けるとともに、昨年は広域での「高温耐性品種のセミナー」を開催しました(写真3)。これらの取組によって高温耐性品種の作付面積は年々拡大傾向にあります。さらに、県生物工学研究所では、「にじのきらめき」よりも高温に強い品種を現在開発しているところです。

水稲以外の作物においても、高温障害が出にくく、産地に適合した品種を選定し、導入を推進しています。
生産技術対策の強化
高温対策技術としては、温度を下げる技術、収量・品質を低下させない技術、栽培時期の変更などがあります。県では、複数の品目で、生産現場での高温対策技術の実証に加え、試験研究機関において新たな技術を開発しています。品目により選択できる技術は異なりますが、ここでは、施設園芸品目の取組を中心にご紹介します。
施設園芸品目における高温対策としては、①換気、②遮光・遮熱、③冷却があります(図1)。

①換気とは、施設内で温度が高まった空気の熱を施設外へ放出・入れ換える技術で、換気装置や外気導入器等が該当します。②遮光・遮熱とは、気温上昇の原因となる太陽光又は赤外線を遮り、施設内の昇温を抑制する技術で、遮光ネット、遮熱フィルム、遮光塗布剤などが該当します。③冷却とは、施設内温度を低下させる技術で、ヒートポンプやエアコン等による夜間冷房や細霧装置による日中冷房が該当します。なお、対策技術の詳細については、県農業技術課有機農業・気候変動対策推進室ホームページをご参照ください。今後の更なる気温上昇に備えるためには、1つの技術だけでなく、①~③の複数の技術を組み合わせて取り組むことが重要となります。そこで、園芸産地で高温対策を集中的に進めるため、令和8年度には、高温対策を支援する事業を新たに実施する予定です。
多発する重要病害虫の総合防除
神栖市内のピーマン産地では、温暖化の影響でアザミウマ類の発生量が増加し、さらに、薬剤抵抗性の発達したことで、アザミウマ類が媒介する「ピーマン黄化えそ病」が問題となっています。そこで、令和7年度から「いばらき重要病害虫総合防除対策事業」を創設し、①天敵昆虫の導入、②夏場を中心とした休作期間の設定、③作付け終了時に薬剤を使用してピーマンを完全に枯死させ、寄生するアザミウマ類を死滅させる「古株枯死」技術の3つの技術について、実証試験に取り組み、黄化えそ病の発生が大幅に減少することを確認しました。今後は、実証試験により得られた効果的な防除対策をまとめたマニュアルを作成し、広く普及を図ります。
こうした取り組みを推進していくことで、高温環境が続く状況下においても、「儲かる農業」を実現し、本県農業の持続的発展を図ってまいります。
